2015年 12月 10日
ヨンテンハンレプリカ製作 |
多くの陶磁器の作家はそばチョクのような器を作っている。チョクという呼び名が古臭ければ、フリーカップと呼んでもいい。フリーなカップとは言い得て妙で、麺ツユを入れてもいいし冷茶でもコーヒーでも、向付にもデザートのカップにも使え、作家物の陶器の実用的な面を下支えしている器と言えるかもしれない。うちにも違う陶磁作家のチョクが5種類くらいはある。
では作家物の吹きガラスの器の世界にそういうのがあるかというと、私がガラスに関心を持った二十余年前にはなかった。ただ、小谷真三さん、荒川尚也さんなどの感度の良い人たちが独自に使い易そうなコップを作っていただけだった。例外中の例外として見つけたのが那覇市の奥原硝子で作られていた沖縄ガラスの4・半コップで、たしか大学図書館で見た日本全国の伝統工芸を紹介するカラー図録に載っていたように記憶している。
私は何をするにも理詰めで考えるのが苦手で、ろくろく答えが出ないうちに適当に物事を始めてしまうが、ガラスの仕事を始めるにあたっては、やはり怖かったので結構頭の中でシミュレーションを繰り返した。そして、吹きガラスの世界にある、ニッチと表現するにはあまりにデカい穴を狙えば行ける、と確信を持った。すなわち「そばチョク」に当たるものが何もないから作れば売れる、という能天気な期待を。それがコップ制作の苦労の始まりだったが。
で、色々と紆余曲折あったように思うが、思いつき自体は当たりで、先行者利益というにはあまりにショボい利益ではあるが犬と人間が食べていけている。
で、今回その、往古の沖縄ガラス4.半コップを顕彰するためレプリカを制作してみた。以前から作っている「プレーンコップ」の吹き方をちょっと沖縄風に変更したので、ついでにガラスの生地を多めに巻きとって肉厚にしたというだけのことだが結構雰囲気は出ている。
画像右が修業時代に仕事の後吹かせてもらったもの。370グラムありすごく重いが、技術が未熟で生地を多く巻き取りすぎたせいだろう。右が昨日吹いたもの。300グラムくらい。プレーンコップの平均の重さは260グラムくらいなのでかなり厚めではあるが、右と比べると薄手に見えてしまう。右の分厚いほうも、唇を当ててみると、下唇に当たる部分は滑らかに盛り上がっていかにも厚そうに感じるが、上唇があたる部分、すなわち縁の内側は切り立っており、飲み物が切れやすくとても飲みやすいコップである。戦後すぐの生活必需品としての沖縄ガラスはとにかく壊れないのが大事だったのでこんな感じの厚いのが普通だったかもしれない。厚いガラスはレンズみたいできれいだなと思う。これからも時々作りたい。
では作家物の吹きガラスの器の世界にそういうのがあるかというと、私がガラスに関心を持った二十余年前にはなかった。ただ、小谷真三さん、荒川尚也さんなどの感度の良い人たちが独自に使い易そうなコップを作っていただけだった。例外中の例外として見つけたのが那覇市の奥原硝子で作られていた沖縄ガラスの4・半コップで、たしか大学図書館で見た日本全国の伝統工芸を紹介するカラー図録に載っていたように記憶している。
私は何をするにも理詰めで考えるのが苦手で、ろくろく答えが出ないうちに適当に物事を始めてしまうが、ガラスの仕事を始めるにあたっては、やはり怖かったので結構頭の中でシミュレーションを繰り返した。そして、吹きガラスの世界にある、ニッチと表現するにはあまりにデカい穴を狙えば行ける、と確信を持った。すなわち「そばチョク」に当たるものが何もないから作れば売れる、という能天気な期待を。それがコップ制作の苦労の始まりだったが。
で、色々と紆余曲折あったように思うが、思いつき自体は当たりで、先行者利益というにはあまりにショボい利益ではあるが犬と人間が食べていけている。
で、今回その、往古の沖縄ガラス4.半コップを顕彰するためレプリカを制作してみた。以前から作っている「プレーンコップ」の吹き方をちょっと沖縄風に変更したので、ついでにガラスの生地を多めに巻きとって肉厚にしたというだけのことだが結構雰囲気は出ている。
画像右が修業時代に仕事の後吹かせてもらったもの。370グラムありすごく重いが、技術が未熟で生地を多く巻き取りすぎたせいだろう。右が昨日吹いたもの。300グラムくらい。プレーンコップの平均の重さは260グラムくらいなのでかなり厚めではあるが、右と比べると薄手に見えてしまう。右の分厚いほうも、唇を当ててみると、下唇に当たる部分は滑らかに盛り上がっていかにも厚そうに感じるが、上唇があたる部分、すなわち縁の内側は切り立っており、飲み物が切れやすくとても飲みやすいコップである。戦後すぐの生活必需品としての沖縄ガラスはとにかく壊れないのが大事だったのでこんな感じの厚いのが普通だったかもしれない。厚いガラスはレンズみたいできれいだなと思う。これからも時々作りたい。
by satofukigarasu
| 2015-12-10 10:35