引き出しの奥から出てきた今は昔の「クウネル君シール」。
クウネルという雑誌はしばらく前に内容が一新されて全然違う雑誌に変わってしまい、それを惜しむ人も多かった。私も何冊か買ったことがありそれなりに楽しんで読んでもいたが何か微妙な違和感も感じてべったりとは添えない気分だった。旧クウネルは言うまでもなく「民俗学」のエッセンスが取り込まれていてそれが静かな賞賛を呼んでいたりしたのだが、私は何か決定的に足りないものがあると感じていた。私が思う民俗学に欠かせないものとは、それは「エロ」である。難しいことは一切分からないので説明も出来ず、ものすごく乱暴な例の持ち出し方だが、柳田国男の「遠野物語」には獣姦の話とか女房を取られたとかの話が出てくるし、宮本常一の「忘れられた日本人」にはエロ話の金字塔「土佐源氏」が収められている。旧クウネルはエロ抜きの民俗学が成り立つかどうかの実験の結果敗れ去った、というのが私の勝手な感想である。灯しびとの集いが間近に迫り、やらないといけないことがいっぱいあってこんなことを書いている暇はない。